年間20mSvは、見直すべきだ

政府は福島県における小学校などの校庭利用の線量基準を、
年間20マイクロシーベルト決めた。
それに抗議して、東京大学大学院教授の小佐古敏荘氏が、4月30日付で内閣官房参与を辞任したのは、ご存知の通り。

涙の抗議のニュースhttp://youtu.be/1DQfFR4NsZM

ウィキによると、小佐古氏は放射線の安全基準に関する研究をなさっている方なのだそうだ。趣味が、水泳工作、幼いころの将来の夢は旋盤工だそうです。
ま、それはさておき、放射線の専門家が涙で抗議しているのだから、政府は考え直したら?人の命が懸かっているのだから、慎重でいいはずです。

彼は、政府の東京電力福島第一原子力発電所事故の対処が、「法と正義」の原則に則しておらず、「国際常識とヒューマニズム」にも反していると糾弾している。

以下、小佐古氏が配布した文書から。

今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv特殊な例でも年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2, 3 日あるいはせいぜい1, 2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間20 mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです.年間10mSvの数値も、ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で(せいぜい年間数mjvです) 、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。


加えて小佐古氏は、政府が情報を隠していると告発している。
以下、文書より

この1ケ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ思いますのは、 「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が定められており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。

 しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせているように見えます。

 とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の基本に基づく判断に随分欠けた所があるよう見受けました。例えば、住民の放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべきものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されていない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状沢もSPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に公表されていない。

 初期のプリュ-ムのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を、 20、 30km圏の近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、福井県茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。


国際的な医師の団体も、日本政府の基準の設定にショックを受けていると発表している
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今週号の週刊現代[2011年5月14日号]で武田邦彦氏の話によると、 
武田氏がテレビ番組の収録で、福島原発事故で既に200人ぐらいの子供が 
甲状腺がんになった可能性があるという分析を明かしたらカットされたそうだ。